2012.05/26 [Sat]
しゃれ帯展…東京友禅作者さんの試み
ごきげんよう


この作品展に出会ったのは偶然です
小さな画廊の内部を、丁寧に使って展示された、手描きの名古屋帯に目が行きました。
壁には塩瀬の染め帯。
手前のテーブルに、大島紬結城紬紅花紬等反物にコーディネートして、染めの名古屋帯と帯締めを。
更に呉服屋さんのように衣紋かけに掛けたものも。
訪問着の染め、紬地の型染め。
染め絵は額装されて壁を飾ります。
寡聞にして存じませんでしたが、東京友禅の職人さんはこの界隈に多くお住まいのようです。
お話を聞くと、仲間の職人さんたちとグループ展を開き、日本橋三越などで販売もされるそうです。
「落合ほたる」とも呼ばれる、最近メジャーな東京友禅の作品展にも出品。ここはスタンプラリーもあり、集客も多いイベントです。
勢力的に活動の場を広げてらっしゃるようです。。。
着物を着ていても、その作り手と直に会う機会はほとんどありません。
なのでこんな作品展ならのぞいてみます。作者さんひとりが受付の、ほっこりした、空間です。

草色の紬地に、ねこじゃらしと猫
この猫はスマホで遊んでます。近づかないと見えないけど。

蜜柑色の塩瀬地に、雪輪柄
染めの帯はしゃれ着に使うものなので、着物を着慣れた方は色々お持ちかと思います。
かの超有名着物ブロガーかんたーびれさんの普段着では、これでもかこれでもかと状況に合わせた染め帯をお使い。。。行きつけの呉服問屋の担当さんの話では、季節に合わせた染め帯柄を毎月1枚づつ集めているお客がいる。。。好きな花、好きな動物を描いてもらってお気に入りの帯にするひと。。。
ところでワタシ自身は紬が大好きで、街着に紬ばかりだというのに。。。悲しいことに、今までに好みの染め帯に出会ったことがほとんどありません
染め帯って、難しい。
その難しさは、織りの帯を探すのとは違う難しさです。
手描きの染め帯の決め手は、ずばり、その絵が好きかどうか。
なので、1点ものの手描き染め帯は、常に出会いを求めてるんですね
ところでワタシはこの機会に、と、こちらの作者さんに尋ねてみました。
「呉服屋さんに行くと、無難な、癖のない感じの染め帯しか見当たらないですが。。。何故
」
彼ら職人さんは、注文があれば何でも描くそうです。
とはいえ得意分野がありますから、仲間内で仕事を融通し合うそうですが。。。
で、彼らに注文を出す問屋さんは、数を売らねば商売にならないので、無難路線を数で用意するそうなんです。
彼ら職人さんたちの本音は、「こんな変わったモチーフはまだオレしか描いてない」「ちょっと洒落を効かせ過ぎかも」「この遊びが判ってもらえたら嬉しい」というようなものが売れるといい、そんな注文が欲しい。。。ということです。
問屋さんがおくびょうになっている。。。とも聞きます。
ワタシは。。。好きで着物を着るだけのひとで、呉服業界の将来を憂うひとではありませんので、この状況になんら発展的意見は言えません。が。
呉服業界は。。。作り手と買い手の間に意志疎通が見られない、イマドキ珍しい業界なんですね。問屋さんは、どうやら消費者の声を反映していないらしいけど、では何のためにあるの


見事な技術があって、欲しいひとがいたら、必要なのは上手なプロデュースでしょう。既存の問屋さんにプロデュース能力がないのは不幸。
さて、この個展で展示された作品には値段が付いてました。
染め名古屋帯:約12万円~約17万円(仕立て代別途)
訪問着:約45万円
額装染め絵:約1万数千円~
同じものは、三越に入るとプラス10万円以上になるそうです。
手描きの東京友禅でこのお値段は、さすが作者個展、お買い得だと思いました。そう思っているひとはちゃんといて、毎回必ず来るお客さまもいらっしゃるそうです。
ところでアタシは、作者から直に買えば安いと言いたい訳ではありません。
作り手から消費者へのダイレクトな流れだけでは、大きなマーケットは望めないからです。
今の、作り手
(組合
)大手問屋
(小売り問屋
)販売店
消費者 の流れでは、消費者の好みの多様性について行けない上、消費者の好みが作り手に反映されない。そして、着物を買う人間だれもが思う、着物の値段の不透明さ。。。
だからといって、作り手
消費者 は、場所を選びすぎる。マーケットが小さい。消費者には大きな不公平が生じます。
作り手
販売店
消費者 販売店に上手なプロデュース能力が求められますが、良いものが適正な価格で消費者の元へ。癖のあるブランドを立ち上げることも可能です。博多帯のawaiさんはこの分野だと思います。(業界では非常識だと言われたそうです)
それにしても、既存の流通形態を変えるのがどれほど大変なことか。
既得権は、誰も手放したくないのです。
その権利が、すでにあまり利益を産まなくなっているとしても。
こうして先が細った業種が、他にもありそうですね。
。。。しまった、つい真面目に考えてしまった
そんなことより。このしゃれ帯展作者佐藤さんは、友禅体験教室も持ってらっしゃるらしいので、是非行ってみたいです
半襟のワンポイントでもできたら楽しそうです~



この作品展に出会ったのは偶然です

小さな画廊の内部を、丁寧に使って展示された、手描きの名古屋帯に目が行きました。
壁には塩瀬の染め帯。
手前のテーブルに、大島紬結城紬紅花紬等反物にコーディネートして、染めの名古屋帯と帯締めを。
更に呉服屋さんのように衣紋かけに掛けたものも。
訪問着の染め、紬地の型染め。
染め絵は額装されて壁を飾ります。
寡聞にして存じませんでしたが、東京友禅の職人さんはこの界隈に多くお住まいのようです。
お話を聞くと、仲間の職人さんたちとグループ展を開き、日本橋三越などで販売もされるそうです。
「落合ほたる」とも呼ばれる、最近メジャーな東京友禅の作品展にも出品。ここはスタンプラリーもあり、集客も多いイベントです。
勢力的に活動の場を広げてらっしゃるようです。。。
着物を着ていても、その作り手と直に会う機会はほとんどありません。
なのでこんな作品展ならのぞいてみます。作者さんひとりが受付の、ほっこりした、空間です。

草色の紬地に、ねこじゃらしと猫
この猫はスマホで遊んでます。近づかないと見えないけど。

蜜柑色の塩瀬地に、雪輪柄
染めの帯はしゃれ着に使うものなので、着物を着慣れた方は色々お持ちかと思います。
かの超有名着物ブロガーかんたーびれさんの普段着では、これでもかこれでもかと状況に合わせた染め帯をお使い。。。行きつけの呉服問屋の担当さんの話では、季節に合わせた染め帯柄を毎月1枚づつ集めているお客がいる。。。好きな花、好きな動物を描いてもらってお気に入りの帯にするひと。。。
ところでワタシ自身は紬が大好きで、街着に紬ばかりだというのに。。。悲しいことに、今までに好みの染め帯に出会ったことがほとんどありません

染め帯って、難しい。
その難しさは、織りの帯を探すのとは違う難しさです。
手描きの染め帯の決め手は、ずばり、その絵が好きかどうか。
なので、1点ものの手描き染め帯は、常に出会いを求めてるんですね

ところでワタシはこの機会に、と、こちらの作者さんに尋ねてみました。
「呉服屋さんに行くと、無難な、癖のない感じの染め帯しか見当たらないですが。。。何故

」
彼ら職人さんは、注文があれば何でも描くそうです。
とはいえ得意分野がありますから、仲間内で仕事を融通し合うそうですが。。。
で、彼らに注文を出す問屋さんは、数を売らねば商売にならないので、無難路線を数で用意するそうなんです。
彼ら職人さんたちの本音は、「こんな変わったモチーフはまだオレしか描いてない」「ちょっと洒落を効かせ過ぎかも」「この遊びが判ってもらえたら嬉しい」というようなものが売れるといい、そんな注文が欲しい。。。ということです。
問屋さんがおくびょうになっている。。。とも聞きます。
ワタシは。。。好きで着物を着るだけのひとで、呉服業界の将来を憂うひとではありませんので、この状況になんら発展的意見は言えません。が。
呉服業界は。。。作り手と買い手の間に意志疎通が見られない、イマドキ珍しい業界なんですね。問屋さんは、どうやら消費者の声を反映していないらしいけど、では何のためにあるの



見事な技術があって、欲しいひとがいたら、必要なのは上手なプロデュースでしょう。既存の問屋さんにプロデュース能力がないのは不幸。
さて、この個展で展示された作品には値段が付いてました。
染め名古屋帯:約12万円~約17万円(仕立て代別途)
訪問着:約45万円
額装染め絵:約1万数千円~
同じものは、三越に入るとプラス10万円以上になるそうです。
手描きの東京友禅でこのお値段は、さすが作者個展、お買い得だと思いました。そう思っているひとはちゃんといて、毎回必ず来るお客さまもいらっしゃるそうです。
ところでアタシは、作者から直に買えば安いと言いたい訳ではありません。
作り手から消費者へのダイレクトな流れだけでは、大きなマーケットは望めないからです。
今の、作り手

(組合

)大手問屋

(小売り問屋

)販売店

消費者 の流れでは、消費者の好みの多様性について行けない上、消費者の好みが作り手に反映されない。そして、着物を買う人間だれもが思う、着物の値段の不透明さ。。。
だからといって、作り手

消費者 は、場所を選びすぎる。マーケットが小さい。消費者には大きな不公平が生じます。
作り手

販売店

消費者 販売店に上手なプロデュース能力が求められますが、良いものが適正な価格で消費者の元へ。癖のあるブランドを立ち上げることも可能です。博多帯のawaiさんはこの分野だと思います。(業界では非常識だと言われたそうです)
それにしても、既存の流通形態を変えるのがどれほど大変なことか。
既得権は、誰も手放したくないのです。
その権利が、すでにあまり利益を産まなくなっているとしても。
こうして先が細った業種が、他にもありそうですね。
。。。しまった、つい真面目に考えてしまった

そんなことより。このしゃれ帯展作者佐藤さんは、友禅体験教室も持ってらっしゃるらしいので、是非行ってみたいです

半襟のワンポイントでもできたら楽しそうです~

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No title
染め帯って、確かにあんまり持ってないかも。
染めが嫌いなんじゃなくて、締め心地がふわふわして頼りないのが好みじゃないってだけなんだけど…。
この帯いいなぁ。
私はイチ着物好きに過ぎないけど、毎日着ているヘビーユーザーとしては「面白くて着心地の良いものが着たい! お値段も気軽なものに!」と思います。
流通形態に問題があるのなら、なんとかなるといいのになぁ。
着物文化が晴れ着・コスプレオンリーになってしまわぬように、切に願います。
awaiの博多帯はいいですよねー。業界の非常識とは…知りませんでした。