2010.10/23 [Sat]
雪輪柄泥大島紬
20代で仕立て、30代半ばまで愛用していました。雪輪は大好きな柄なのです。
八掛は、臙脂色でした。
見知らぬ小娘に、着物のしきたりをとうとうと説いてくださった藤間先生。着物(というよりも、身に付けるあらゆるもの。服でもアクセサリーでも)が、その人の立場を表す時代を生きた方でした。
今は色々な事がカジュアルになって、そんなことも言われなくなりました。
薄い黄土色(絵の具で言うイエローオーカー)から青(シアン系)へのグラディエーションが凝っています。
彩度を落とした色使いが美しいです。この素晴らしい技術が後世に残って欲しい
20代としては、当時若干地味なものでしたが、八掛を臙脂にすることで、若い女性が着ているとはっきり判ったのです。
平安時代、娘の袴(長着の下に履く下着)が臙脂色で、既婚女性や中年になると朱色に変えたという故事を思い出します。
若い頃よくやっていた組み合わせです。この帯は当時の八掛と同じ臙脂色なのですが、画像では真っ赤に見えます。どうもデジカメでは、赤の微妙な表現が難しいです。もっと明度を落としたお色をご想像ください。
帯に臙脂色は、秋から冬のコーディネートでした。この組み合わせの時の半襟は、白地にピンク系グラディエーションの小花や、もみじ柄でした。帯揚げは若竹色、帯〆は草色から若竹色のぼかし。赤と緑は補色の関係なので、合わせやすいのでよくやります。
同じ紬で春のコーディネート。浅葱色のちりめん地に軽い紅型の名古屋帯です。中抜き絞りの帯揚げは水色からピンクへのグラディエーション。帯〆同じピンク。この時半襟は、さくらの刺繍だったり、水色地に藤の刺繍だったりしました。細かい季節感は半襟の刺繍で出すことも多いです。
たまは、古典柄が好きなのと、きちんと綺麗めに着るのが好きなので、組み合わせも奇抜なのはありません。この組み合わせのまま、別の人が着るのも可能なくらい。でも、着物はその人の中身が出る衣装ですね、同じに組み合わせても同じタイプの人には見えません。個性が際立ち、小物のお色を変えるだけで、どんぴしゃと来る瞬間があります。結局、ひとりひとり、似合う組み合わせはまったく同じにはならないのです。それが、ホントに不思議。着物の不思議です。
いつの時代も必ず着物好きが現れて、どっぷりハマっていきますが、とても納得できます。この世にたったひとつの、自分だけのコーディネートなのですから。
着物は、奥深い衣装です。
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- [ざっくりと着物の話2010~2014]
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No title
雪輪は、私も好きな柄です。
縁がなくて持ってはいませんが。
臙脂の帯も染めの帯もどちらも良いですね。
特に染めの方は、まんまるには似合わない色なので
ため息モノです。