2016.09/29 [Thu]
ウンチク店主vsウチの義妹
ごきげんよう




やっぱりお天気が不安定@首都圏西部。
昨年の今ごろは、「暑さ寒さも彼岸までってのはホントだな!」などと話し合っていたのです。今年も同じ台詞が言えると信じて疑わなかったのに。暑いけれどもきっとお彼岸過ぎれば涼しくなるはずよ、と思っていたのに。なんつーことか。まだ最高気温29℃を記録しそうな予報の東京。
ウチの義妹が購入したシブい名古屋帯の名前に、たくさんのアイディアありがとうございます。
義妹は選択肢がいろいろあると脳みそがフリーズするタイプですので、ひとりでは名前が決められません。取り急ぎお礼のみ申し上げます。
名前は。。。広く応募しといてすみませんが、当分決まらないと思ってくださってよござんす。
今日も今日とて、ウチの義妹(夫の実妹)は自由散歩に出掛けました。(自由散歩@ウチの義妹説くところの「リードなし散歩」のことらしい。このとき犬は嬉しさ半分、非常に緊張しているそうです。わたくしは猫飼いなのでよく存じません)
っつー訳でね、ウチの義妹のぐるぐるお買いもの彷徨が前回で終わったと思うのは、やっぱり甘かったのでした。今度は、新しい足袋が買いたいというのよ、奥さん。
恐らく唐突に思い付いたのでしょうが。。。頼むから一度に買えよっっっと、効率が好きで気の短い義理姉は思う。
まあお買いものの楽しみを長引かせたいお買いものの楽しみをたっぷり味わいたいとおっさるならばそれでいいことにしましょう。
そして義妹は自由散歩が楽しみたくて、ひとりでウチからはそう遠くない、とあるディスカウント系呉服屋さんに行ったんでした。
そこには妙にクセのある50がらみのオジサン(店主)がいた。
義妹が欲しかったのはストレッチ足袋です。
足袋コーナーのラックからストレッチ足袋を探し出して(種類は少ない)、会計してもらおうと店主に差し出すと。。。店主は、
「今、いいのが入ってるから見るだけ見て行きませんか」
と声をかけた。
ウチの義妹は外面のいいオンナです。人当たり抜群、相手に嫌な思いをさせないように振る舞います。相づちを打つのだって、わたくしが隣で聞いてると、「こいつわざと持ち上げてる?」「それって持ち上げ過ぎでイヤミじゃね?」と疑うことしばしば。ご本人は本能でやってるらしいですけれども。
っつーことで、他にお客さんがいないさほど広くもない店内、畳敷きのコーナーに誘われて、ウチの義妹はありがたいウンチクを聞かされる羽目になったのでした。聞きたくなかったのではありません。何度も申し上げておりますが、ウチの義妹は性格が悪い。「この冴えないオヤジがどんなつまんないことを言うのか聞いて差し上げてもよくってよ」ってな意地悪な気持ちなんですわ。
曰く「名古屋の男性から注文があって誂えた200万円の紋付袴」の話とか。
「どんなに洗っても風合いが変わらない、自宅で洗える正絹の長襦袢特価で10万円」とか。
「最近は中国産が多いから、良いものが欲しければちゃんと日本の絹を買わないと」とか。
ウンチク垂れ流しながら次から次へと解かれる反物を、義妹は、
「まああああ、手触りが柔らかくて素晴らしいですね」
とべたべた触ってにっこり。
「まああ、お高い!色に深みがありますもんねえ」
とべたべた触ってにっこり。
「手垢をつけてやったわ」
と申しております。反物は悪くないよ手垢つけるなんてヒドいわーーー(爆)
いかがでしょう。ウチの義妹は相当性格が悪いと思います。本人にわざと意地悪してるつもりは微塵もないのです。なのにココロの中では「もっとおもしろいこと言いなさいよ」と毒づいていたのです。
義妹はとてもおとろしいオンナです。この見解に相づちを打ってくれるのは、義妹の夫(義弟ですね)だけです。ウチの夫と義妹は、結構性格が似ているところがあります。
義妹は、店主のウンチク&自慢話がひと息つきそうになると、背景に飾られた写真などを見つけて、
「まああ、こちらの職人さんのものを扱ってらっさるの?」
とオヤジの自慢ココロにまた火をつけます。
性格悪くね?
放っておいてもウンチク&自慢でいつまでも話ていたいタイプのオヤジを煽りたいように煽っておいて、「このヒト、性格悪いなーーー」とか思ってるウチの義妹。わたくしのような裏も表もない直球勝負の人間には手も足も出ません。でも一般社会に於いては確実に、わたくしよりも敵が少ないでしょう。そしてそういう世渡りを、羨ましいとも感じていて、わたくしは義妹の性格の悪さに絶大な信頼すら持っております。
やがてウンチク店主が、この客は何をどう見せても絶対何も買わないとやっと気付いたのか、本題の足袋の話になりました。
ストレッチ足袋を全否定して、木綿の足袋を勧めるのです。
義妹がストレッチ足袋を選んでいるのは理由があります。義妹の足は若いときから、甲がとても低くて薄くて左右幅も狭くて、靴を探すのも大変なくらい、足には苦労していたのでした。1足見つけたら速攻で同じものをもう1足、と言いたくてもまず買えない。サイズ的なこともあります。あの足の薄さ狭さならばサイズ22センチくらいだったら案外見つかったのかもしれません。でも義妹は24.5センチです。よって、足の形に合って履き易くて歩き易い気持ちのいい靴が見つかると、1足の靴をいつでもどこでも履いて履いて、また次に履き易い靴が見つかるまでに履きつぶしてしまうこともありました。そうなったら歩きにくい足が痛い非常に辛く悲しい目に遭うのです。
好みの色でデザインで足に無理なく歩き易い。。。ってな靴に出会えるのは、流れ星に当るほどの幸運が見込まれました。義妹はずっと靴ジプシーで、これからも靴ジプシーのままなのでしょう。
こういうと必ず誰かが、
「甲が薄くて幅が狭いヒト用の足袋だって作ってますよ」
って言うんだけれども。このときもウンチク店主は言った。そして義妹に、うにゃららのメーカーの、足が薄いヒト用木綿の足袋を試着させました。
でもこれは指の長さなどが全然合わず、足も痛かったんだそーです。
こういう微妙な感覚って、本当に人それぞれだと思います。痛くて嫌だというのを、大丈夫だと言い切る権利は誰にもない。わたくしの経験でも言えますが、案外他人は、自分が我慢できるから他人にも我慢せよと平気で言います。わたくしなどは病気の傷みに慣れているので相当我慢強いですけれども、病院に行くと「こんな状態まで我慢しないでください」って必ず言われちゃう。我慢にはTPOが必要なのでしょう。それでも足は、我慢するのは身体全体によろしくないという風潮も認識されました。義妹は長年ウオノメなどで苦しんできたのです。
ウンチク店主は次に、別のメーカーの、木綿の細身の足袋を出した。
でも残念ながら、甲が余って余ってダボついて履きにくい。ウンチク店主は、いちど洗えばもっとぴたっとすると言うのだけれども、信じられません。
そうして次に、木綿だけどストレッチ性のある足袋を試着させようとしました。ちょこっとお高いけど有名ブランド。ウンチク店主は、ウンチクをひけらかすのを忘れません。
「ストレッチ足袋なんてのは仲居さんが履くもんで、普通の方が履くもんじゃないですよ。みっともない。静電気で着物の裾も汚れるし、正式の場で履けるもんじゃないでしょう。それにアナタ、その爪、何考えてんの、もっと切らないと駄目駄目」
「。。。でもこれ以上深く切ると巻き爪になるから切れません」
ウンチク店主にとって、足の爪を切ってないお客は言語道断。説教カマしたくてしょうがない。痛いのなんか我慢できる、とか言いそうです。
ここら辺で潮時と感じた義妹は、丁寧にアタマを下げました。
「いいものをたくさん見せていただいてありがとうございました。足袋はもう少し考えてみます」
若干しょぼんとした様子でお店を出て行く義妹のことは、ウンチク店主も止められなかったようです。でも義妹はココロの中で「絶対何も買わないよ~ん」とお下品に舌べろを出しておりました。もちろん今後もこのお店では、1400円也のストレッチ足袋はおろか100円也の襟芯1枚だって買う気はありません。
どうしても義妹の足に合う足袋が欲しいならば、恐らく完全オーダーで作ればいいのだろうと思います。何度も何度も仮縫いして作るようなやつですね。イージーオーダーではオーダーシューズすら駄目だった過去があり、足袋にも期待は無理そうです。でも義妹には、そこまで足袋に時間とお金をかける気はありません。いいトシぶっこいてきて尚更、足の肉が落ちてきましたので、1回作った足袋がまた合わなくなる可能性も大きいし、そもそも白足袋をそんなにたくさん履く機会などないのです。すっかり現役を退いたのに最近になってまた機会が出てきた、たまに出席するお茶会くらい。普段に着物を楽しむためならば、色足袋だって柄足袋だってたびっくすだって履いてみたいし、慣れたストレッチ足袋で充分なのです。
呉服屋さんのウンチクって、役に立つことを言ってるのかもしれないけれども、ある意味呪いの一種だと感じます。こっちに判断する材料がないときには信じちゃったりするかもしれない。信じていいこともあるかもしれない。でも気が弱ってると呉服屋さんの考えを無理矢理押し付けられたりしそう。
信じるのも信じないのも、幸せも不幸せも、結局は、ウンチク言う側のキャラクターとこちらとの相性がすべてなのだろうと考えております。
わたくしの担当さんは仕事で得たいろいろな知識を話してくれるけれども、個人の感想は言ってもウンチクなど聞いたことはないし、わたくしは明らかに担当さん個人が好きで信用しているのであって、担当さんが勤めてる会社を信じてるんじゃないしねえ(笑)。。。着物屋さんとの付き合い方は本当に難しいと思います。
それからわたくしと義妹は、イマドキのご時世、呉服屋さんがおされで着物着たいだけのヒトにウンチクかまして脅してええもんかなーーー?などと話し合ったのでした。ああしろこうしろアレは駄目コレは駄目って、お客さんの前にハードルを上げてどうしようってのか。頑張るのはお客さんじゃなくて店主、オマエじゃないのか。。。
かなりの数の呉服屋さんのアタマの中は、高度成長期からバブル期までで止まってる気がしてるんですけど。呉服屋さんとの付き合いなどほとんどないので(いつもの着物問屋の担当さんだけ)世間知らずのわたくしの判断が間違ってるかも知れませんが。
でもさーー、どーでもいいよ知らないよ200万円の紋付袴なんか。正直な感想は「そいつは歌舞伎役者かただの馬鹿か」しかない。少なくともわたくしはこのようなウンチク店主に出会ったら、確実に喧嘩を売りそうなので、憎まれて刺されてしまうかもしれません。危険なので、そのお店には決して近寄らず、家でおとなしくしていようと思っております。
その翌日、ウチの義妹は、別の呉服店に行って、ウンチク店主がお勧めした某メーカーの木綿のストレッチタイプの足袋を試着して、
「ぜーーーんぜん足に合わないーーーっっっ駄目じゃーーーんっっっ


」
とお怒りでした。
そうして晴れやかな気持ちで、いつもの東レのストレッチ足袋を買って帰りました。
誰も文句言わなかった。めでたしめでたし。
いつも読んでいただいてありがとうございます。


https://fashion.blogmura.com/kimono/





やっぱりお天気が不安定@首都圏西部。
昨年の今ごろは、「暑さ寒さも彼岸までってのはホントだな!」などと話し合っていたのです。今年も同じ台詞が言えると信じて疑わなかったのに。暑いけれどもきっとお彼岸過ぎれば涼しくなるはずよ、と思っていたのに。なんつーことか。まだ最高気温29℃を記録しそうな予報の東京。
ウチの義妹が購入したシブい名古屋帯の名前に、たくさんのアイディアありがとうございます。
義妹は選択肢がいろいろあると脳みそがフリーズするタイプですので、ひとりでは名前が決められません。取り急ぎお礼のみ申し上げます。
名前は。。。広く応募しといてすみませんが、当分決まらないと思ってくださってよござんす。
今日も今日とて、ウチの義妹(夫の実妹)は自由散歩に出掛けました。(自由散歩@ウチの義妹説くところの「リードなし散歩」のことらしい。このとき犬は嬉しさ半分、非常に緊張しているそうです。わたくしは猫飼いなのでよく存じません)
っつー訳でね、ウチの義妹のぐるぐるお買いもの彷徨が前回で終わったと思うのは、やっぱり甘かったのでした。今度は、新しい足袋が買いたいというのよ、奥さん。
恐らく唐突に思い付いたのでしょうが。。。頼むから一度に買えよっっっと、効率が好きで気の短い義理姉は思う。
まあお買いものの楽しみを長引かせたいお買いものの楽しみをたっぷり味わいたいとおっさるならばそれでいいことにしましょう。
そして義妹は自由散歩が楽しみたくて、ひとりでウチからはそう遠くない、とあるディスカウント系呉服屋さんに行ったんでした。
そこには妙にクセのある50がらみのオジサン(店主)がいた。
義妹が欲しかったのはストレッチ足袋です。
足袋コーナーのラックからストレッチ足袋を探し出して(種類は少ない)、会計してもらおうと店主に差し出すと。。。店主は、
「今、いいのが入ってるから見るだけ見て行きませんか」
と声をかけた。
ウチの義妹は外面のいいオンナです。人当たり抜群、相手に嫌な思いをさせないように振る舞います。相づちを打つのだって、わたくしが隣で聞いてると、「こいつわざと持ち上げてる?」「それって持ち上げ過ぎでイヤミじゃね?」と疑うことしばしば。ご本人は本能でやってるらしいですけれども。
っつーことで、他にお客さんがいないさほど広くもない店内、畳敷きのコーナーに誘われて、ウチの義妹はありがたいウンチクを聞かされる羽目になったのでした。聞きたくなかったのではありません。何度も申し上げておりますが、ウチの義妹は性格が悪い。「この冴えないオヤジがどんなつまんないことを言うのか聞いて差し上げてもよくってよ」ってな意地悪な気持ちなんですわ。
曰く「名古屋の男性から注文があって誂えた200万円の紋付袴」の話とか。
「どんなに洗っても風合いが変わらない、自宅で洗える正絹の長襦袢特価で10万円」とか。
「最近は中国産が多いから、良いものが欲しければちゃんと日本の絹を買わないと」とか。
ウンチク垂れ流しながら次から次へと解かれる反物を、義妹は、
「まああああ、手触りが柔らかくて素晴らしいですね」
とべたべた触ってにっこり。
「まああ、お高い!色に深みがありますもんねえ」
とべたべた触ってにっこり。
「手垢をつけてやったわ」
と申しております。反物は悪くないよ手垢つけるなんてヒドいわーーー(爆)
いかがでしょう。ウチの義妹は相当性格が悪いと思います。本人にわざと意地悪してるつもりは微塵もないのです。なのにココロの中では「もっとおもしろいこと言いなさいよ」と毒づいていたのです。
義妹はとてもおとろしいオンナです。この見解に相づちを打ってくれるのは、義妹の夫(義弟ですね)だけです。ウチの夫と義妹は、結構性格が似ているところがあります。
義妹は、店主のウンチク&自慢話がひと息つきそうになると、背景に飾られた写真などを見つけて、
「まああ、こちらの職人さんのものを扱ってらっさるの?」
とオヤジの自慢ココロにまた火をつけます。
性格悪くね?
放っておいてもウンチク&自慢でいつまでも話ていたいタイプのオヤジを煽りたいように煽っておいて、「このヒト、性格悪いなーーー」とか思ってるウチの義妹。わたくしのような裏も表もない直球勝負の人間には手も足も出ません。でも一般社会に於いては確実に、わたくしよりも敵が少ないでしょう。そしてそういう世渡りを、羨ましいとも感じていて、わたくしは義妹の性格の悪さに絶大な信頼すら持っております。
やがてウンチク店主が、この客は何をどう見せても絶対何も買わないとやっと気付いたのか、本題の足袋の話になりました。
ストレッチ足袋を全否定して、木綿の足袋を勧めるのです。
義妹がストレッチ足袋を選んでいるのは理由があります。義妹の足は若いときから、甲がとても低くて薄くて左右幅も狭くて、靴を探すのも大変なくらい、足には苦労していたのでした。1足見つけたら速攻で同じものをもう1足、と言いたくてもまず買えない。サイズ的なこともあります。あの足の薄さ狭さならばサイズ22センチくらいだったら案外見つかったのかもしれません。でも義妹は24.5センチです。よって、足の形に合って履き易くて歩き易い気持ちのいい靴が見つかると、1足の靴をいつでもどこでも履いて履いて、また次に履き易い靴が見つかるまでに履きつぶしてしまうこともありました。そうなったら歩きにくい足が痛い非常に辛く悲しい目に遭うのです。
好みの色でデザインで足に無理なく歩き易い。。。ってな靴に出会えるのは、流れ星に当るほどの幸運が見込まれました。義妹はずっと靴ジプシーで、これからも靴ジプシーのままなのでしょう。
こういうと必ず誰かが、
「甲が薄くて幅が狭いヒト用の足袋だって作ってますよ」
って言うんだけれども。このときもウンチク店主は言った。そして義妹に、うにゃららのメーカーの、足が薄いヒト用木綿の足袋を試着させました。
でもこれは指の長さなどが全然合わず、足も痛かったんだそーです。
こういう微妙な感覚って、本当に人それぞれだと思います。痛くて嫌だというのを、大丈夫だと言い切る権利は誰にもない。わたくしの経験でも言えますが、案外他人は、自分が我慢できるから他人にも我慢せよと平気で言います。わたくしなどは病気の傷みに慣れているので相当我慢強いですけれども、病院に行くと「こんな状態まで我慢しないでください」って必ず言われちゃう。我慢にはTPOが必要なのでしょう。それでも足は、我慢するのは身体全体によろしくないという風潮も認識されました。義妹は長年ウオノメなどで苦しんできたのです。
ウンチク店主は次に、別のメーカーの、木綿の細身の足袋を出した。
でも残念ながら、甲が余って余ってダボついて履きにくい。ウンチク店主は、いちど洗えばもっとぴたっとすると言うのだけれども、信じられません。
そうして次に、木綿だけどストレッチ性のある足袋を試着させようとしました。ちょこっとお高いけど有名ブランド。ウンチク店主は、ウンチクをひけらかすのを忘れません。
「ストレッチ足袋なんてのは仲居さんが履くもんで、普通の方が履くもんじゃないですよ。みっともない。静電気で着物の裾も汚れるし、正式の場で履けるもんじゃないでしょう。それにアナタ、その爪、何考えてんの、もっと切らないと駄目駄目」
「。。。でもこれ以上深く切ると巻き爪になるから切れません」
ウンチク店主にとって、足の爪を切ってないお客は言語道断。説教カマしたくてしょうがない。痛いのなんか我慢できる、とか言いそうです。
ここら辺で潮時と感じた義妹は、丁寧にアタマを下げました。
「いいものをたくさん見せていただいてありがとうございました。足袋はもう少し考えてみます」
若干しょぼんとした様子でお店を出て行く義妹のことは、ウンチク店主も止められなかったようです。でも義妹はココロの中で「絶対何も買わないよ~ん」とお下品に舌べろを出しておりました。もちろん今後もこのお店では、1400円也のストレッチ足袋はおろか100円也の襟芯1枚だって買う気はありません。
どうしても義妹の足に合う足袋が欲しいならば、恐らく完全オーダーで作ればいいのだろうと思います。何度も何度も仮縫いして作るようなやつですね。イージーオーダーではオーダーシューズすら駄目だった過去があり、足袋にも期待は無理そうです。でも義妹には、そこまで足袋に時間とお金をかける気はありません。いいトシぶっこいてきて尚更、足の肉が落ちてきましたので、1回作った足袋がまた合わなくなる可能性も大きいし、そもそも白足袋をそんなにたくさん履く機会などないのです。すっかり現役を退いたのに最近になってまた機会が出てきた、たまに出席するお茶会くらい。普段に着物を楽しむためならば、色足袋だって柄足袋だってたびっくすだって履いてみたいし、慣れたストレッチ足袋で充分なのです。
呉服屋さんのウンチクって、役に立つことを言ってるのかもしれないけれども、ある意味呪いの一種だと感じます。こっちに判断する材料がないときには信じちゃったりするかもしれない。信じていいこともあるかもしれない。でも気が弱ってると呉服屋さんの考えを無理矢理押し付けられたりしそう。
信じるのも信じないのも、幸せも不幸せも、結局は、ウンチク言う側のキャラクターとこちらとの相性がすべてなのだろうと考えております。
わたくしの担当さんは仕事で得たいろいろな知識を話してくれるけれども、個人の感想は言ってもウンチクなど聞いたことはないし、わたくしは明らかに担当さん個人が好きで信用しているのであって、担当さんが勤めてる会社を信じてるんじゃないしねえ(笑)。。。着物屋さんとの付き合い方は本当に難しいと思います。
それからわたくしと義妹は、イマドキのご時世、呉服屋さんがおされで着物着たいだけのヒトにウンチクかまして脅してええもんかなーーー?などと話し合ったのでした。ああしろこうしろアレは駄目コレは駄目って、お客さんの前にハードルを上げてどうしようってのか。頑張るのはお客さんじゃなくて店主、オマエじゃないのか。。。
かなりの数の呉服屋さんのアタマの中は、高度成長期からバブル期までで止まってる気がしてるんですけど。呉服屋さんとの付き合いなどほとんどないので(いつもの着物問屋の担当さんだけ)世間知らずのわたくしの判断が間違ってるかも知れませんが。
でもさーー、どーでもいいよ知らないよ200万円の紋付袴なんか。正直な感想は「そいつは歌舞伎役者かただの馬鹿か」しかない。少なくともわたくしはこのようなウンチク店主に出会ったら、確実に喧嘩を売りそうなので、憎まれて刺されてしまうかもしれません。危険なので、そのお店には決して近寄らず、家でおとなしくしていようと思っております。
その翌日、ウチの義妹は、別の呉服店に行って、ウンチク店主がお勧めした某メーカーの木綿のストレッチタイプの足袋を試着して、
「ぜーーーんぜん足に合わないーーーっっっ駄目じゃーーーんっっっ



」
とお怒りでした。
そうして晴れやかな気持ちで、いつもの東レのストレッチ足袋を買って帰りました。
誰も文句言わなかった。めでたしめでたし。
いつも読んでいただいてありがとうございます。


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再現ビデオにするなら、義妹さん役は平岩紙(ファブリーズCMのお母さん役)さんが似合いそうです。( ´艸`)