2016.04/15 [Fri]
入学式に着た着物@義妹バージョン
ごきげんよう


ウチの義妹(夫の実妹)が、息子の大学の入学式に着た着物は以下のとおり。

アイスブルーもしくは薄い水色もしくは瓶覗(かめのぞき。日本の伝統色から)もしくはアナ雪カラー(←義妹談)地紋あり(何の地紋がよくわからなかった)のひとつ紋つき色無地。
金色地唐織袋帯。
母親(わたくしにとっては姑)のもの。
躑躅色暈し絞りの帯揚げ。
草色の高麗組帯〆。
草色の伊達襟。


ウチの義妹は若いころ、妙にド派手に見える組み合わせで着物を着ておりました。
今は亡き義母(夫&義妹の実母)によると、
1)義母が選んだものもしくは大伯母さまだか大祖母さまだかの若いときの着物を用意。それはホンモノのアンティークで、色はあすかピンクだったりする。
2)義母手持ちの帯をいくつか合わせて、苦戦。
3)帯揚げが蛍光黄緑じゃないと落ち着かなくなる。
4)帯もド赤な振袖用もしくはこてこてアンティークにチェンジ。
5)必然的に帯〆も蛍光黄緑。
6)白い半襟だと淋しくなって、蛍光ピンクもしくは蛍光オレンジの伊達襟を入れる。
7)髪飾りは大きな金襴のリボンもしくは大きなブーケ風コサージュを装着。
「どうしてあんな組み合わせが似合うのかしらねえ」
江戸っ子の義母が、我が子を不審に思っていたくらいです。
。。。かくして、義母が望んだ江戸好みのスッキリモダン系からは外れ、とはいえ京風はんなりお嬢さん系からも外れ、何やら勝手流とも言える義妹そのものの着姿になっていたのでございます。
わたくしなどは、その無軌道な着姿が不思議で不思議でしょうがなかったです。今ならネットで、いろいろな方々のいろいろな着姿が居ながらにして楽しめるので、様々なことも理解できますが、当時はそうじゃなかった。義母が着せていたし、「まあ戦前にはこういうヒトが結構居たんだろうな」と思いはしましたけれども。
不思議だけれど妙に気になるので、わたくしの着物でわたくしのコーディネートのまま、全部取り替えっこしてお互いに着用に及んだことがあります。ビックリですが、お互い泣くほど似合わなかったですねーーー。もしかして着物はそのままでも全体のコーディネートを変えれば、お互いにあそこまでヒドくなかったかも知れないのですが。。。わたくしが「アンティーク可愛いし見るのも大好きだけど自分では無理」だと思う原体験はここにあります。
そんな義妹でしたがやがていいトシぶっこいてきて、子育てもひと段落してふと見回すと、もうどうしても着られそうにない!と本人が白旗を揚げる着物ばかりが残りました。
どうやら若いときの憑き物が落ちたみたいです(爆)
今は、義母が残した付け下げやら小紋やらが着られますし、すっきりしたものも似合います。息子の卒業式に着た付け下げも義母が自分用に誂えたものでした。義妹はトシを取ったら妙に、義母に似て来ました。って母娘だし当たり前か。
それにしても、若いときから考えると、想像もできない方向に来たのです。
年月ってすごいですねーーー、奥さん。
やがて。。。義妹は、たまには新しい(ってか、目新しい)着物が欲しくなったようでした。
着る機会が連続したのも、義妹の目新しいの欲しい気分を増長したと言えましょう。
3月のある日、義妹からのメールを開くと、
「今日、たまたま都心の方に出てるの!高円寺にあるらしい着物の古着屋さんに行こうと思ってるんだけど!」
「。。。はあ。何か欲しいものでも?(←不審)。。。はっ、もしかしてまた黒羽織を買うんじゃないでしょうね!?(この経緯は『黒羽織顛末記』をお読みいただけるとよくわかります
こちら)」
「さすがにもう黒羽織は要りません
。。。でもワタシ、帯が欲しいんだよね」
義妹は、着物歴はとても長いですが、ほとんどいつも同じ帯で棲息してきました。特に大きな刺繍のアンティーク帯(大伯母さんの若いときのもの)は何度か修復しつつ酷使したので、最近到頭お亡くなりなのでした。義妹にとっての喪失感は計り知れません。帯1本のことですが、その帯が、あらゆるシーンの安心を支えてくれていたのです。
「へえ、じゃあどんなのがあるか悩んだらまた連絡してください」
一抹の不安を感じつつも、そう告げました。
やがてまた義妹からメール。
「しまったっっっ


高円寺のお店は今日定休日だったっっっ


」
「。。。えっ全部?」
「うん。行こうと思ってたとこ全部」
義妹あるあるです。ウチの義妹は、行動パターンが若干、わたくしの友人★に似ているのですわ。
「どうする?」
「じゃあ、西荻に行きます!」
「行くんですね。。。」
「勢いがついているのです。行かずにおれません」
もう誰も、ウチの義妹の行く手を阻むことはできないのです。
飼い犬がお散歩に出るとき、リードを外して歩かせるのを「自由散歩」と呼ぶらしいのですが(わたくしは犬を飼ったことがないので存じません)、ウチの義妹は、「今、リードが外れてる!」と気付くと嬉しくて嬉しくて、でも多少びくびくしつつ、あちこち寄り道マーキングする癖があります。そうして「今、自由散歩満喫中!」と言うのです。本人談ですよ。
。。。
。。。
。。。かなりの時間が過ぎて、わたくしが義妹のことをすっかり忘れ果てたころ、
「アナ雪の着物(爆)買っちゃった
帰りに見せに寄ります」
との連絡をもらったのでした。
ああ愉しい自由散歩で、愉しくお買いものもできて、良かったこと。っつーかアナ雪って何?
自分で羽織って選べるのは確かにありがたいことですね。っつーかアナ雪って何?
顔映りもよくて裄も身丈もたっぷりあるものが見つかったのです。っつーかアナ雪っちゃないだろ?
。。。などと怒ってもしょうがない。確かに、これはアナ雪っぽいですね。。。


呆れちゃう。。。(ちなみにわたくしは本家本元の映画を観ていません。映画本編とは一切関係ないことをお断りしておきます)
そうしてこのリサイクル色無地は、ちょっとたたみシワもあったために、懲りずにご近所の職人さんにプレスに出され(そう、薔薇の刺繍の黒羽織をプレスに出したら何ヶ月もやってくれなかった、例の職人さんですよ、奥さん)、またしばらくの間、『本当に入学式に間に合うのか!?』ハラハラさせてくれました。今回はどんな奇跡だったのか、ギリギリで間に合いましたけれど。
ホントに懲りないヒトだな。。。と、職人さんではなく、義妹に小言が言いたくなる、こ五月蝿い義理姉なんですわ。
「莫迦じゃないの!?」
「うええええーーーん。間に合わなかったら、卒業式に着た着物で行くーーー」
「でさー、結局、帯はどうしたの?」
「。。。はっ


」
義妹の旅は終わりそうにありません。
このようにわたくしたちは、これもご縁と思ってお互い諦めて仲良くしております。



ウチの義妹(夫の実妹)が、息子の大学の入学式に着た着物は以下のとおり。

アイスブルーもしくは薄い水色もしくは瓶覗(かめのぞき。日本の伝統色から)もしくはアナ雪カラー(←義妹談)地紋あり(何の地紋がよくわからなかった)のひとつ紋つき色無地。
金色地唐織袋帯。
母親(わたくしにとっては姑)のもの。
躑躅色暈し絞りの帯揚げ。
草色の高麗組帯〆。
草色の伊達襟。


ごめんなさいっ
帯を結んだのはわたくしなのですが、帯枕の位置を見込み違いして、袋帯のたたみシワが隠せませんでした。黒羽織着るからいいよね、と許してもらう。
そして、式典やら、皇居まわりの満開の桜やら、丸の内のおされなビルやら美術館やら、1日を満喫したのでした。
いつも読んでいただいてありがとうございます。


https://fashion.blogmura.com/kimono/
以下は、義妹の着物について。
過去と現在。
長文なので、スルーしてくだすってよござんす。

帯を結んだのはわたくしなのですが、帯枕の位置を見込み違いして、袋帯のたたみシワが隠せませんでした。黒羽織着るからいいよね、と許してもらう。
そして、式典やら、皇居まわりの満開の桜やら、丸の内のおされなビルやら美術館やら、1日を満喫したのでした。
いつも読んでいただいてありがとうございます。


https://fashion.blogmura.com/kimono/
以下は、義妹の着物について。
過去と現在。
長文なので、スルーしてくだすってよござんす。
ウチの義妹は若いころ、妙にド派手に見える組み合わせで着物を着ておりました。
今は亡き義母(夫&義妹の実母)によると、
1)義母が選んだものもしくは大伯母さまだか大祖母さまだかの若いときの着物を用意。それはホンモノのアンティークで、色はあすかピンクだったりする。
2)義母手持ちの帯をいくつか合わせて、苦戦。
3)帯揚げが蛍光黄緑じゃないと落ち着かなくなる。
4)帯もド赤な振袖用もしくはこてこてアンティークにチェンジ。
5)必然的に帯〆も蛍光黄緑。
6)白い半襟だと淋しくなって、蛍光ピンクもしくは蛍光オレンジの伊達襟を入れる。
7)髪飾りは大きな金襴のリボンもしくは大きなブーケ風コサージュを装着。
「どうしてあんな組み合わせが似合うのかしらねえ」
江戸っ子の義母が、我が子を不審に思っていたくらいです。
。。。かくして、義母が望んだ江戸好みのスッキリモダン系からは外れ、とはいえ京風はんなりお嬢さん系からも外れ、何やら勝手流とも言える義妹そのものの着姿になっていたのでございます。
わたくしなどは、その無軌道な着姿が不思議で不思議でしょうがなかったです。今ならネットで、いろいろな方々のいろいろな着姿が居ながらにして楽しめるので、様々なことも理解できますが、当時はそうじゃなかった。義母が着せていたし、「まあ戦前にはこういうヒトが結構居たんだろうな」と思いはしましたけれども。
不思議だけれど妙に気になるので、わたくしの着物でわたくしのコーディネートのまま、全部取り替えっこしてお互いに着用に及んだことがあります。ビックリですが、お互い泣くほど似合わなかったですねーーー。もしかして着物はそのままでも全体のコーディネートを変えれば、お互いにあそこまでヒドくなかったかも知れないのですが。。。わたくしが「アンティーク可愛いし見るのも大好きだけど自分では無理」だと思う原体験はここにあります。
そんな義妹でしたがやがていいトシぶっこいてきて、子育てもひと段落してふと見回すと、もうどうしても着られそうにない!と本人が白旗を揚げる着物ばかりが残りました。
どうやら若いときの憑き物が落ちたみたいです(爆)
今は、義母が残した付け下げやら小紋やらが着られますし、すっきりしたものも似合います。息子の卒業式に着た付け下げも義母が自分用に誂えたものでした。義妹はトシを取ったら妙に、義母に似て来ました。って母娘だし当たり前か。
それにしても、若いときから考えると、想像もできない方向に来たのです。
年月ってすごいですねーーー、奥さん。
やがて。。。義妹は、たまには新しい(ってか、目新しい)着物が欲しくなったようでした。
着る機会が連続したのも、義妹の目新しいの欲しい気分を増長したと言えましょう。
3月のある日、義妹からのメールを開くと、
「今日、たまたま都心の方に出てるの!高円寺にあるらしい着物の古着屋さんに行こうと思ってるんだけど!」
「。。。はあ。何か欲しいものでも?(←不審)。。。はっ、もしかしてまた黒羽織を買うんじゃないでしょうね!?(この経緯は『黒羽織顛末記』をお読みいただけるとよくわかります

こちら)」
「さすがにもう黒羽織は要りません

。。。でもワタシ、帯が欲しいんだよね」
義妹は、着物歴はとても長いですが、ほとんどいつも同じ帯で棲息してきました。特に大きな刺繍のアンティーク帯(大伯母さんの若いときのもの)は何度か修復しつつ酷使したので、最近到頭お亡くなりなのでした。義妹にとっての喪失感は計り知れません。帯1本のことですが、その帯が、あらゆるシーンの安心を支えてくれていたのです。
「へえ、じゃあどんなのがあるか悩んだらまた連絡してください」
一抹の不安を感じつつも、そう告げました。
やがてまた義妹からメール。
「しまったっっっ



高円寺のお店は今日定休日だったっっっ



」
「。。。えっ全部?」
「うん。行こうと思ってたとこ全部」
義妹あるあるです。ウチの義妹は、行動パターンが若干、わたくしの友人★に似ているのですわ。
「どうする?」
「じゃあ、西荻に行きます!」
「行くんですね。。。」
「勢いがついているのです。行かずにおれません」
もう誰も、ウチの義妹の行く手を阻むことはできないのです。
飼い犬がお散歩に出るとき、リードを外して歩かせるのを「自由散歩」と呼ぶらしいのですが(わたくしは犬を飼ったことがないので存じません)、ウチの義妹は、「今、リードが外れてる!」と気付くと嬉しくて嬉しくて、でも多少びくびくしつつ、あちこち寄り道マーキングする癖があります。そうして「今、自由散歩満喫中!」と言うのです。本人談ですよ。
。。。
。。。
。。。かなりの時間が過ぎて、わたくしが義妹のことをすっかり忘れ果てたころ、
「アナ雪の着物(爆)買っちゃった

帰りに見せに寄ります」
との連絡をもらったのでした。
ああ愉しい自由散歩で、愉しくお買いものもできて、良かったこと。っつーかアナ雪って何?
自分で羽織って選べるのは確かにありがたいことですね。っつーかアナ雪って何?
顔映りもよくて裄も身丈もたっぷりあるものが見つかったのです。っつーかアナ雪っちゃないだろ?
。。。などと怒ってもしょうがない。確かに、これはアナ雪っぽいですね。。。



呆れちゃう。。。(ちなみにわたくしは本家本元の映画を観ていません。映画本編とは一切関係ないことをお断りしておきます)
そうしてこのリサイクル色無地は、ちょっとたたみシワもあったために、懲りずにご近所の職人さんにプレスに出され(そう、薔薇の刺繍の黒羽織をプレスに出したら何ヶ月もやってくれなかった、例の職人さんですよ、奥さん)、またしばらくの間、『本当に入学式に間に合うのか!?』ハラハラさせてくれました。今回はどんな奇跡だったのか、ギリギリで間に合いましたけれど。
ホントに懲りないヒトだな。。。と、職人さんではなく、義妹に小言が言いたくなる、こ五月蝿い義理姉なんですわ。
「莫迦じゃないの!?」
「うええええーーーん。間に合わなかったら、卒業式に着た着物で行くーーー」
「でさー、結局、帯はどうしたの?」
「。。。はっ



」
義妹の旅は終わりそうにありません。
このようにわたくしたちは、これもご縁と思ってお互い諦めて仲良くしております。
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お友達とよく似た行動パターンというのが やはりご縁があったということを実感させてくれますね
アイスブルー シュッとした体型の義妹さんにはお似合いだと思います
そしてアナ雪と呼びたいのも(わたしも映画は見ていませんが)うなずけまする(^_^;)
うちも義妹とは趣味も体型もまったく違うので 義母の形見分けの時は欲しい着物がかぶらず 割と平和的に進みました(笑)