2015.03/28 [Sat]
遺品整理『きもの』ディレクターズカット版ver.2
ごきげんよう


引き続き、匿名希望さんの残した着物について。
若干の画像と解説と。
左上から右へ。
東雲色結城紬地に鴛鴦柄の訪問着。匿名希望さん、やっぱり買ってたか(笑)!
匿名希望さんのラインナッブからすれば、絶対持っていそうだと早くから予測を立てていた、紬の訪問着ですわ。匿名希望さんは、泥染の大島紬訪問着より、他の地色に染められる結城紬を染め下地にするだろうと思ってましたよ。こういうカンが当たると嬉しい。
白地一越ちりめん地に大きなピンク色の蘭の花柄訪問着。
こちらはとても古いもので、白い地なので、保存期間のおかげで出てしまったシミばかりでした。どうして匿名希望さんのお母さまはこれを処分しなかったのかな?。。。と思ったら、後ほど写真がでてきて判明しました。この衣装は、匿名希望さんが結婚式で3枚目のお色直しに着た着物だったのです!
1枚目は白無垢。2枚目は色打ち掛けに角隠し。そして3枚目はこの訪問着に丸髷。なーるほど。想い出の着物だったのですね。手描きの蘭の様子も良かったし、状態が良ければいただきたいところでしたが、たとう紙を替えて箪笥に戻しました
。
オリエンタル風唐花柄黒留袖。
白い比翼の、裾に入ったふき綿がほっこり厚くて、ものの良さを感じました。上等な仕立て。
こちらはご自身のひとり息子の結婚式に着てらっさいます。
綸子地ピンク地暈し訪問着。
桜色一越ちりめん地平安王朝柄色留袖。無紋。
畳んだ状態のときはてっきり訪問着だと思い込んでました。広げたら上半身に柄がない。軽く、楽しみで着るために無紋にしたらしいです。作家さんの銘が入ってます。
岡重っぽいインド風唐花の黒留袖。未着用しつけ付き。
本当は息子の結婚式にはこちらを着るつもりだったらしいです。黒の染めも上等です。どうしてやめたのかは不明。裾の比翼のふき綿はほとんどありません。現代風の造りです。
蝶の地紋に群青色裾暈しの訪問着。
黒地鬼シボちりめん地大きな蝶柄の訪問着。
小紋だと思い込んでいて、小紋のくせに鬼シボちりめんなんていつ着たのか匿名希望さんってば。。。な~んて思ったら勘違いでした。画像を撮るために広げると訪問着だった。付け下げ?と思ったけれども、共八掛の様子から訪問着に認定。
よく、訪問着と付け下げの区別がつきにくいと聞きますわ。イマドキは、訪問着だけれども柄が軽かったり、付け下げだけれども柄を重厚に付けたり、仕立て上がってしまったらハタで見ているとまるで区別がつかないものがありますよね。
売っている状態ならば明らかなんですけれども。
訪問着は仮絵羽で柄付けをして売られますし、付け下げは柄付けした巻きの反物で売られます。
付け下げは、切らずに柄を付けるんですよ、奥さん。
東京手描き友禅作家の佐藤氏は、製作工房の広さの関係で、主に帯と訪問着を作ってらしたけれども(爆)、彼には小紋と付け下げは作れないのですわ。いい話だなあ。
両者(訪問着と付け下げ)の違いは、手間とお値段の違い。。。のはずでしたが、イマドキはそうも言えなくなったみたいですね。
リサイクルなどを見てわたくしが判断しているのは、表地と同じ生地で八掛が誂えてあったら訪問着、市販の暈しなどの八掛がついていたら付け下げ、くらいですね。柄の多さや柄の格の高さよりも、そちらの仕立ての状態を優先して判断しています。100%絶対当りではありませんけれども。
さて、匿名希望さんの着物はイマドキのものではないので、訪問着は訪問着らしくあり、付け下げは1枚もありませんでした。
訪問着の中に、軽い遊び着とちょっと気張りたいとき用の区別があっただけ、のようです。
次は羽織ものを。左上から右へ。
オレンジと緑色縞柄道行きコート。永谷園のお茶漬け海苔に似ている。
オペラピンクちりめん地に飛び柄の道行きコート。
黒地総絞りの絵羽柄羽織。
横段織りの道行きコート。紬地じゃなくて、織り、としか言えない。コート用に作られたっぽい生地です。昔はそういう反物があったのでしょう。
白地に菊唐草柄のちりめん地羽織。小紋長着を羽織にしたらしい雰囲気でした。
紺地に赤い格子柄の長コート。
村山大島?らしい平織りの紬地に撥水加工をしたと思われる。
臙脂色の防寒コート。日本橋三越のタグがありました。
くすんだ朱赤地に絵羽の亀甲柄道行きコート。
切りばめの単衣紬。濃紺の無地と格子柄とオリエンタル風。
くすんだ赤い地色の多色使いオリエンタル風幾何学柄平織りの単衣の紬。
薄茶縦縞と絣柄紬。匿名希望さんのテイストからは大きく外れています。もしかしたらそのお母さまのを匿名希望さんサイズに仕立て直したものかもしれません。
濃紺地紅型風染め紬。小紋かと思ったら、地は紬でした。
白地ちりめん地に紅梅シルエット柄の訪問着。
白綸子地に独楽柄の小紋。独楽の大きさは1センチから5ミリほど。こういう柄付けが流行った時期があったらしいですね。べにお先生のお母さまも同じようなのをお持ちです。匿名希望さんとべにお先生のお母さまは、年齢がかなり違います。それでも同じようなテイストの着物を持っている。。。それは好みが似ているのもあるでしょうが、それらを買った時期や着るシチュエーションが似ているのでは。。。?べにお先生と画像を前に話し合ったら、そのような感じがしました。
黒地二重紗の羽織。さすがに着る機会がなかったのか、しつけが付いたままです。二重紗(紗合わせ)は単衣の季節のものだそうですが、羽織だともっと着用期間が長いのかな?でも真夏は暑そうですね~
ピンクグレイ地唐花柄マジョリカお召の道中着。着物を仕立て直したようです。
マジョリカお召って、ちょっとざらざらした、少し光沢ある糸も入った、お召があったんですよね。銘仙ではない、春っぽい素材。で、割とお手頃価格だったのかどうか存じませんが、リサイクル着物にもときどき見掛けるし、昔のヒトで持っている方も多いのです。ただ、生地がそんなに強くないのか?銘仙ほどは生産されなかったのか?たくさん着て楽しんだ着物類は、あまり現代に残ってないようですね。。。ってわたくしは全盛期に生まれてないから生き証人ではありませんよあしからず。たまにこのように見掛けるだけです。
さてわたくしはこのように、とりあえず現代のひとも着られそうな状態のものだけを抜粋して解説しております。その他にも数が多いので一括して、業者さんに引き取ってもらう手続きも済みました。
結婚式で着た訪問着など、一部は、桐の箪笥に再び仕舞われました。
更に、わたくしたち(わたくし&義妹&友人★)も、それぞれ各自のテイストで使えそうな着物や帯や小物類を、少量ずつ分けていただきました。
匿名希望さんの残した着物は、こうして再び仕分けされたのです。
さて。。。帯はどうしたんだ帯は!?
着物を着るなら帯は必需品です。帯はどこに行ったのでしょうか。
長襦袢も到頭、未着用のもの2枚しか出てきませんでした。綸子地の袷用と、絽の薄もの用です。
やはり、匿名希望さんのお母さまが、使い古したものは既に処分した、と思われるのです。
帯も、元々あまり量はなかったようですが、手ズレや汚れが酷いなどの古いものは処分されたのかも知れません。新らしくはないですがあまり使ってないような、そういう帯が若干数あるだけでした。
小物類は、新品で封を切ってない帯〆や伊達襟、帯揚げなど、ピンク系のグラデーションばかりが見つかりました。
わたくしは遠い昔、着物屋さんの展示会場で、着物問屋さんが言っていたのを思い出しましたっけ。
曰く、
「使いやすい帯揚げ帯〆類は、ピンク系に限りますね。それを持っていればたいてい何にでも合いますわ」
。。。へえ~~~そーなんだ~~~とは思いましたが、わたくしの着たい着物では小物類がピンク系だけではやりくりできませんので、話し半分のつもりでした。
が。。。それはある意味、事実だったんやな。
出て来た帯の一部。左上から右へ。
薄いピンク色塩瀬地に藤色の蘭の花の九寸名古屋帯。
ちりめん地にカラフルな傘柄全通九寸名古屋帯。
ひわ色と鴇色の大きな市松地に御所車と花の刺繍柄名古屋帯。
アンティークらしい。匿名希望さん子供時代のものか?
ペパーミントグリーンの地に組紐柄袋帯。
エメラルドグリーン地に銀色幾何学箔の名古屋帯。
白地塩瀬地平安王朝女人柄九寸名古屋帯。
黒地塩瀬地に蝶柄九寸名古屋帯。
押さえた金銀地に平安王朝女人柄袋帯。
桐の箪笥の片付けられ方や状態から想像すると、匿名希望さんは、着物の総数の1/4以下の分量の帯を持っていたようでした。着物の着られた様子からすれば、帯ももっと使われていてしかるべきだと思いますが、やはりお母さまが汚れの酷いものをいったん処分したのでしょう。そしてあまり使われないものが箪笥に残されたようです。なので、どの着物にどの帯を締めていたのか、どういうコーディネートを楽しんでいたのか、詳しいことはほとんどわかりません。
ちまたでは(雑誌とか)、着物1枚帯2本とか3本とか、聞きますけれども、着物を頻繁に着て楽しむヒトにとって、そういう揃え方は多分、必ずしも守る必要はない決まり事でもないし、そもそも現実的でもないのだな、とも思いました。
ただ匿名希望さんは、お気に入りの合わせやすい帯だけがあれば良くて、着物はあれこれ取り替えたけれども、帯と小物類はいつも同じものを使ったように思われるのです。着るものですから、どう着ようと各自の好み各自の勝手です。そして、自分の興味関心の質がどこに向いているか、っていうのは本当にひとそれぞれなのでしょう。
こうして、さまざまな地雷と危険な罠を残した匿名希望さんの遺品整理、特に1枚1枚チェックしたかった着物の整理は終わりました。
お洋服やアクセサリー・バッグ類の買いっぷりのとんでもなさに比べると、着物類は、非常に常識的で真っ当な感じでした。わたくしも、義妹も友人★も、何だか拍子抜けしたようなホッとしたような、妙な心持ちになりましたよ。気が抜けたっつーか。オチが弱くね?みたいな。ってかそもそも、真実の記録におもしろいオチを求めてはいけないのでしょう。いやはや出だしが強烈だったから、つい。
でもとりあえずホッとした。暑くなる前に片付けられて良かったです。
これでようやく仕事もオシマイーーーって、思っちゃいけませんぜ、奥さん。
まだ手をつけていない、お洋服が残っている。
わたくしたちの遺品整理はしばらくは終わらない


もうたいしてネタは残っていないと思いますが、その間にもわたくしたちがジミーーーに作業しているっつーことでどうぞ宜しく。
いつも読んでいただいてありがとうございます。


https://fashion.blogmura.com/kimono/



引き続き、匿名希望さんの残した着物について。
若干の画像と解説と。
左上から右へ。
東雲色結城紬地に鴛鴦柄の訪問着。匿名希望さん、やっぱり買ってたか(笑)!
匿名希望さんのラインナッブからすれば、絶対持っていそうだと早くから予測を立てていた、紬の訪問着ですわ。匿名希望さんは、泥染の大島紬訪問着より、他の地色に染められる結城紬を染め下地にするだろうと思ってましたよ。こういうカンが当たると嬉しい。
白地一越ちりめん地に大きなピンク色の蘭の花柄訪問着。
こちらはとても古いもので、白い地なので、保存期間のおかげで出てしまったシミばかりでした。どうして匿名希望さんのお母さまはこれを処分しなかったのかな?。。。と思ったら、後ほど写真がでてきて判明しました。この衣装は、匿名希望さんが結婚式で3枚目のお色直しに着た着物だったのです!
1枚目は白無垢。2枚目は色打ち掛けに角隠し。そして3枚目はこの訪問着に丸髷。なーるほど。想い出の着物だったのですね。手描きの蘭の様子も良かったし、状態が良ければいただきたいところでしたが、たとう紙を替えて箪笥に戻しました

。
オリエンタル風唐花柄黒留袖。
白い比翼の、裾に入ったふき綿がほっこり厚くて、ものの良さを感じました。上等な仕立て。
こちらはご自身のひとり息子の結婚式に着てらっさいます。
綸子地ピンク地暈し訪問着。
桜色一越ちりめん地平安王朝柄色留袖。無紋。
畳んだ状態のときはてっきり訪問着だと思い込んでました。広げたら上半身に柄がない。軽く、楽しみで着るために無紋にしたらしいです。作家さんの銘が入ってます。
岡重っぽいインド風唐花の黒留袖。未着用しつけ付き。
本当は息子の結婚式にはこちらを着るつもりだったらしいです。黒の染めも上等です。どうしてやめたのかは不明。裾の比翼のふき綿はほとんどありません。現代風の造りです。
蝶の地紋に群青色裾暈しの訪問着。
黒地鬼シボちりめん地大きな蝶柄の訪問着。
小紋だと思い込んでいて、小紋のくせに鬼シボちりめんなんていつ着たのか匿名希望さんってば。。。な~んて思ったら勘違いでした。画像を撮るために広げると訪問着だった。付け下げ?と思ったけれども、共八掛の様子から訪問着に認定。
よく、訪問着と付け下げの区別がつきにくいと聞きますわ。イマドキは、訪問着だけれども柄が軽かったり、付け下げだけれども柄を重厚に付けたり、仕立て上がってしまったらハタで見ているとまるで区別がつかないものがありますよね。
売っている状態ならば明らかなんですけれども。
訪問着は仮絵羽で柄付けをして売られますし、付け下げは柄付けした巻きの反物で売られます。
付け下げは、切らずに柄を付けるんですよ、奥さん。
東京手描き友禅作家の佐藤氏は、製作工房の広さの関係で、主に帯と訪問着を作ってらしたけれども(爆)、彼には小紋と付け下げは作れないのですわ。いい話だなあ。
両者(訪問着と付け下げ)の違いは、手間とお値段の違い。。。のはずでしたが、イマドキはそうも言えなくなったみたいですね。
リサイクルなどを見てわたくしが判断しているのは、表地と同じ生地で八掛が誂えてあったら訪問着、市販の暈しなどの八掛がついていたら付け下げ、くらいですね。柄の多さや柄の格の高さよりも、そちらの仕立ての状態を優先して判断しています。100%絶対当りではありませんけれども。
さて、匿名希望さんの着物はイマドキのものではないので、訪問着は訪問着らしくあり、付け下げは1枚もありませんでした。
訪問着の中に、軽い遊び着とちょっと気張りたいとき用の区別があっただけ、のようです。
次は羽織ものを。左上から右へ。
オレンジと緑色縞柄道行きコート。永谷園のお茶漬け海苔に似ている。
オペラピンクちりめん地に飛び柄の道行きコート。
黒地総絞りの絵羽柄羽織。
横段織りの道行きコート。紬地じゃなくて、織り、としか言えない。コート用に作られたっぽい生地です。昔はそういう反物があったのでしょう。
白地に菊唐草柄のちりめん地羽織。小紋長着を羽織にしたらしい雰囲気でした。
紺地に赤い格子柄の長コート。
村山大島?らしい平織りの紬地に撥水加工をしたと思われる。
臙脂色の防寒コート。日本橋三越のタグがありました。
くすんだ朱赤地に絵羽の亀甲柄道行きコート。
切りばめの単衣紬。濃紺の無地と格子柄とオリエンタル風。
くすんだ赤い地色の多色使いオリエンタル風幾何学柄平織りの単衣の紬。
薄茶縦縞と絣柄紬。匿名希望さんのテイストからは大きく外れています。もしかしたらそのお母さまのを匿名希望さんサイズに仕立て直したものかもしれません。
濃紺地紅型風染め紬。小紋かと思ったら、地は紬でした。
白地ちりめん地に紅梅シルエット柄の訪問着。
白綸子地に独楽柄の小紋。独楽の大きさは1センチから5ミリほど。こういう柄付けが流行った時期があったらしいですね。べにお先生のお母さまも同じようなのをお持ちです。匿名希望さんとべにお先生のお母さまは、年齢がかなり違います。それでも同じようなテイストの着物を持っている。。。それは好みが似ているのもあるでしょうが、それらを買った時期や着るシチュエーションが似ているのでは。。。?べにお先生と画像を前に話し合ったら、そのような感じがしました。
黒地二重紗の羽織。さすがに着る機会がなかったのか、しつけが付いたままです。二重紗(紗合わせ)は単衣の季節のものだそうですが、羽織だともっと着用期間が長いのかな?でも真夏は暑そうですね~

ピンクグレイ地唐花柄マジョリカお召の道中着。着物を仕立て直したようです。
マジョリカお召って、ちょっとざらざらした、少し光沢ある糸も入った、お召があったんですよね。銘仙ではない、春っぽい素材。で、割とお手頃価格だったのかどうか存じませんが、リサイクル着物にもときどき見掛けるし、昔のヒトで持っている方も多いのです。ただ、生地がそんなに強くないのか?銘仙ほどは生産されなかったのか?たくさん着て楽しんだ着物類は、あまり現代に残ってないようですね。。。ってわたくしは全盛期に生まれてないから生き証人ではありませんよあしからず。たまにこのように見掛けるだけです。
さてわたくしはこのように、とりあえず現代のひとも着られそうな状態のものだけを抜粋して解説しております。その他にも数が多いので一括して、業者さんに引き取ってもらう手続きも済みました。
結婚式で着た訪問着など、一部は、桐の箪笥に再び仕舞われました。
更に、わたくしたち(わたくし&義妹&友人★)も、それぞれ各自のテイストで使えそうな着物や帯や小物類を、少量ずつ分けていただきました。
匿名希望さんの残した着物は、こうして再び仕分けされたのです。
さて。。。帯はどうしたんだ帯は!?
着物を着るなら帯は必需品です。帯はどこに行ったのでしょうか。
長襦袢も到頭、未着用のもの2枚しか出てきませんでした。綸子地の袷用と、絽の薄もの用です。
やはり、匿名希望さんのお母さまが、使い古したものは既に処分した、と思われるのです。
帯も、元々あまり量はなかったようですが、手ズレや汚れが酷いなどの古いものは処分されたのかも知れません。新らしくはないですがあまり使ってないような、そういう帯が若干数あるだけでした。
小物類は、新品で封を切ってない帯〆や伊達襟、帯揚げなど、ピンク系のグラデーションばかりが見つかりました。
わたくしは遠い昔、着物屋さんの展示会場で、着物問屋さんが言っていたのを思い出しましたっけ。
曰く、
「使いやすい帯揚げ帯〆類は、ピンク系に限りますね。それを持っていればたいてい何にでも合いますわ」
。。。へえ~~~そーなんだ~~~とは思いましたが、わたくしの着たい着物では小物類がピンク系だけではやりくりできませんので、話し半分のつもりでした。
が。。。それはある意味、事実だったんやな。
出て来た帯の一部。左上から右へ。
薄いピンク色塩瀬地に藤色の蘭の花の九寸名古屋帯。
ちりめん地にカラフルな傘柄全通九寸名古屋帯。
ひわ色と鴇色の大きな市松地に御所車と花の刺繍柄名古屋帯。
アンティークらしい。匿名希望さん子供時代のものか?
ペパーミントグリーンの地に組紐柄袋帯。
エメラルドグリーン地に銀色幾何学箔の名古屋帯。
白地塩瀬地平安王朝女人柄九寸名古屋帯。
黒地塩瀬地に蝶柄九寸名古屋帯。
押さえた金銀地に平安王朝女人柄袋帯。
桐の箪笥の片付けられ方や状態から想像すると、匿名希望さんは、着物の総数の1/4以下の分量の帯を持っていたようでした。着物の着られた様子からすれば、帯ももっと使われていてしかるべきだと思いますが、やはりお母さまが汚れの酷いものをいったん処分したのでしょう。そしてあまり使われないものが箪笥に残されたようです。なので、どの着物にどの帯を締めていたのか、どういうコーディネートを楽しんでいたのか、詳しいことはほとんどわかりません。
ちまたでは(雑誌とか)、着物1枚帯2本とか3本とか、聞きますけれども、着物を頻繁に着て楽しむヒトにとって、そういう揃え方は多分、必ずしも守る必要はない決まり事でもないし、そもそも現実的でもないのだな、とも思いました。
ただ匿名希望さんは、お気に入りの合わせやすい帯だけがあれば良くて、着物はあれこれ取り替えたけれども、帯と小物類はいつも同じものを使ったように思われるのです。着るものですから、どう着ようと各自の好み各自の勝手です。そして、自分の興味関心の質がどこに向いているか、っていうのは本当にひとそれぞれなのでしょう。
こうして、さまざまな地雷と危険な罠を残した匿名希望さんの遺品整理、特に1枚1枚チェックしたかった着物の整理は終わりました。
お洋服やアクセサリー・バッグ類の買いっぷりのとんでもなさに比べると、着物類は、非常に常識的で真っ当な感じでした。わたくしも、義妹も友人★も、何だか拍子抜けしたようなホッとしたような、妙な心持ちになりましたよ。気が抜けたっつーか。オチが弱くね?みたいな。ってかそもそも、真実の記録におもしろいオチを求めてはいけないのでしょう。いやはや出だしが強烈だったから、つい。
でもとりあえずホッとした。暑くなる前に片付けられて良かったです。
これでようやく仕事もオシマイーーーって、思っちゃいけませんぜ、奥さん。
まだ手をつけていない、お洋服が残っている。
わたくしたちの遺品整理はしばらくは終わらない



もうたいしてネタは残っていないと思いますが、その間にもわたくしたちがジミーーーに作業しているっつーことでどうぞ宜しく。
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